子供が成長すると、ご家庭でお子さんと仕事が話題になることもあります。
授業の一環で親の仕事について聞かれたり、働く姿を見せる場面もあるでしょう。
そこで気になるのは、親の仕事が就いている仕事が子供の将来に影響を与えるのかという点です。
この記事では、親の仕事と子供の将来の仕事に対する意識や、子供の将来の仕事の関係について詳しく解説していきます。
また、現在では共働きの家庭も増えてきました。
母親や父親の帰宅時間が遅い場合、子供の学力に与える影響などについても触れていきます。
自分の仕事が子供の将来の成長の妨げになっていないか、悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
このページで学べること
- 親が共働きの場合、子供の学力に影響があるか
- 親の仕事と子供の仕事に対する意識の関係
- 親の仕事が正社員ではない場合の子供への影響
- 親の仕事と子供の将来就く仕事の関係
※当記事は2024年現在の情報になります。
※本ページにはPRが含まれます。
親が共働きの場合、子供の学力に悪影響を与える?
共働きの家庭は、子供とコミュニケーションの時間も取りにくく学力に影響を与えるのではと心配になる方も多いでしょう。
ここでは、国立大学法人お茶の水女子大学の「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」を参考に、共働き家庭の子供の学力について解説します。
この研究は、2017年のデータをもとに、信頼性の高い家庭の小学6年生・中学3年生の子供の学力を調査したものです。
結論から述べると、共働きで親の帰宅時間が遅い場合でも、子供の学力に悪影響を与えるとは限りません。
帰宅時間を母親・父親に分けて、子供の国語の学力を例に挙げて比較していきます。
①父親の帰宅時間と子供の学力の関係
父親との帰宅時間と、中学3年生の学力を比べました。
「SES」は家庭の収入や親の学歴などを考慮したもので、高いほど家庭の社会経済的水準が高いことを表しています。
父親の帰宅時間 | SES(家庭の社会経済的背景) | |||
---|---|---|---|---|
低い | 少し低い | やや高い | 高い | |
中学3年生の学力(国語A) | ||||
就業していない | 71.4 | 76.3 | 76.2 | 83.3 |
~16時 | 67.8 | 74.8 | 77.2 | 80.4 |
16時~18時 | 70.2 | 74.7 | 77.4 | 81.7 |
18時~20時 | 70.7 | 75.8 | 79.3 | 85.0 |
20時~22時 | 71.3 | 76.1 | 79.4 | 85.2 |
22時~ | 71.2 | 76.3 | 79.3 | 85.1 |
帰宅時間が決まっていない | 70.6 | 74.5 | 77.8 | 82.0 |
平均値 | 70.4 | 75.5 | 78.0 | 83.2 |
SESで見ると、水準が高いほど学力は高くなります。
一方で同じSES内で比べると、父親の帰宅時間別の学力と、平均値に大きな差は無いことが分かりました。
つまり同じSES内であれば、父親の帰宅時間で子供の学力は大きく変わらないということになります。
②母親の帰宅時間と子供の学力の関係
続いては母親の帰宅時間と、中学3年生の子供の学力を比べてみましょう。
母親の帰宅時間 | SES(家庭の社会経済的背景) | |||
---|---|---|---|---|
低い | 少し低い | やや高い | 高い | |
中学3年生の学力(国語A) | ||||
就業していない | 70.6 | 77.2 | 80.3 | 85.6 |
~16時 | 70.9 | 76.2 | 80.1 | 85.2 |
16時~18時 | 71.1 | 75.9 | 79.3 | 85.0 |
18時~20時 | 70.8 | 75.1 | 77.9 | 84.6 |
20時~22時 | 68.6 | 74.8 | 77.4 | 83.3 |
22時~ | 66.9 | 70.9 | 77.5 | 82.8 |
帰宅時間が決まっていない | 68.8 | 72.8 | 75.0 | 81.5 |
平均値 | 69.6 | 74.7 | 78.2 | 84.0 |
家庭環境と子供の学力を比較すると、母親の場合もSESの数値が高いほど子供の学力は高くなります。
同じSESグループで母親の帰宅時間と子供の学力を比較すると、母親が就業していない方が若干子供の学力は高い傾向が見られました。
しかし、どの帰宅時間帯でも平均値との大きな差はありません。
上記の結果から、母親の帰宅時間が早くても遅くても、子供の学力には大きな影響はないということになります。
共働きの親と子供の学力の関係
国立大学法人お茶の水女子大学の「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」によると、どちらかの親が専業主婦・主夫でも、両親共働きでも子供の学力に大きな影響はないことが分かりました。
子供の学力だけで考えるなら、SESが高いか低いかどうかが重要です。
親の仕事内容ではなく、家庭の収入・父親の学歴・母親の学歴によって学力に差がつきやすいということになります。
親の仕事と子供の仕事に対する意識の関係
続いては、親の仕事内容によって子供の仕事に対する意識が変わるのかについて解説します。
特に正社員で働いていない親は、子供の将来の仕事に影響がないか心配になる方も多いでしょう。
ここからは、アイデム人と仕事研究所「親の仕事観と子供のキャリア観に関する調査 2023」を参考にお話ししていきます。
この調査は、小学校5~6年生の子供を持つ就労している男女とその子供に、アンケートに回答してもらったものです。
結論から申し上げれば、親の仕事内容と、子供の仕事に対する意識はあまり関係がありません。
調査によると、以下の3点が子供の仕事に対する意識を高める要素になることが分かりました。
- 親が仕事に充実していると感じている
- 子供に仕事について話をしている
- 子供が親の働く姿を見たことがある
これらについて、次の章から詳しく解説していきます。
親の仕事の充実度が、子供の仕事への意識に影響する?
親の仕事の充実度は、子供に影響を与えるのでしょうか。
「親の仕事観と子供のキャリア観に関する調査 2023」の結果から、親の仕事内容が充実していると、子供に以下の影響があることが分かりました。
- 親の仕事に興味を持ちやすくなる
- 子供が将来働くことを楽しみに思っている
- 親のようになりたいと思う場合が多くなる
小学校5-6年生の子供への調査では、以下のようになっています。
仕事の充実度が高い | 仕事の充実度が低い | |
---|---|---|
親の仕事に興味関心がある | 63.0% | 25.7% |
将来働くことが楽しみ | 74.6% | 54.7% |
親のようになりたいと思う | 働く父親への憧れ:45.0% 働く母親への憧れ:47.5% |
働く父親への憧れ:26.9% 働く母親への憧れ:31.3% |
親の仕事が充実していると、子供の仕事に対する意識が高くなっています。
また、親の仕事の充実度は正社員・自営業・フリーランスの方と非正規雇用の方を比べると、非正規雇用の方が充実していると答える割合が若干多くなっています。
このことから、雇用形態に関わらず、親が今の仕事に満足しているかが子供に影響するということになるでしょう。
子供に親の仕事の話をすべき?
子供に自分の仕事内容を話している方は多いものの、日頃の会話で仕事の話を沢山するという方は多くないでしょう。
しかし調査から、子供に仕事の話をすることで、以下のような影響があることが分かります。
- なりたい職業が明確になりやすい
- 子供が将来の夢への努力をする
- 親の仕事に興味を持ちやすくなる
- 親のようになりたいと思う場合が多くなる
「親の仕事観と子供のキャリア観に関する調査 2023」の小学5-6年生への調査結果は、以下の通りです。
子供と仕事の話をする | 子供と仕事の話をしない | |
---|---|---|
将来なりたい職業がある | 40.8% | 32.5% |
将来の夢への努力をしている | 49.6% | 43.4% |
親の仕事に興味関心がある | 64.7% | 48.1% |
親のようになりたいと思う | 働く父親への憧れ:47.7% 働く母親への憧れ:48.1% |
働く父親への憧れ:37.1% 働く母親への憧れ:41.1% |
仕事の充実度と比べた時のような大きな差はないものの、子供と仕事の話をしている方が全体的にパーセンテージが高くなります。
また、子供が親の働く姿を見たことがある場合も、なりたい職業が明確になり、親の仕事に興味を持ったり働く姿に憧れを抱くようになる傾向が高くなっていました。
子供の仕事に対する意識をポジティブなものにするには、普段の子供との会話の中で仕事の話題を積極的にするのが良いでしょう。
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親の仕事が子供に影響するのか不安な方によくある質問
親の仕事が子供に影響するのか不安な方によくある質問をまとめました。
親の仕事が子供に影響するのか不安な方によくある質問
- Q1.親が非正規雇用だと、子供に悪影響を与える?
- Q2.親の職業は子供の将来の職業に影響する?
- Q3.親の仕事を子供に伝えない場合、影響はある?
- Q4.親が共働きの場合、子供の学力が下がる?
Q1.親が非正規雇用だと、子供に悪影響を与える?
A.、非正規雇用であっても悪影響を与えるとは言えません。
「親の仕事観と子供のキャリア観に関する調査 2023」によると、非正規雇用の方が仕事への充実度が高い傾向があることが分かりました。
また、親の仕事の充実度が高い方が子供に良い影響を与えます。
雇用形態に関わらず、親が今の仕事に満足しているかどうかのほうが重要です。
Q2.親の職業は子供の将来の職業に影響する?
A.親の職業が子供の将来の職業に影響することは、無いとは言えません。
「親の仕事観と子供のキャリア観に関する調査 2023」によると、小学5-6年生の将来なりたい職業の理由として「親がしているから」と答えた子供は全体の6%でした。
ただし、親が自分の働いている姿を見せていた場合、親の職業に興味を持っている子供は66.2%となっています。
職業の内容よりも、普段の生活で親が子供に仕事に対して関心を持つような行いをしているかが影響します。
Q3.親の仕事を子供に伝えない場合、影響はある?
A.親の仕事を子供に伝えなくても、悪影響があるとは言えません。
子供に自分の職業を伝えるのが恥ずかしいという方もいるでしょう。
ただし、子供に自分の働く姿を見せていたり、普段から仕事の話をしている方が子供が「働くこと」に関して興味を持ちやすくなります。
ポジティブな仕事の話をしていれば、子供が将来働くことへの不安感は緩和されるでしょう。
Q4.親が共働きの場合、子供の学力が下がる?
A.共働きの家庭でも、子供の学力に影響が出るとは言えません。
「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」によると。父・母どちらかのみが働いていても、共働きであっても子供に学力の差はありませんでした。
親の勤務形態や帰宅時間よりも、家庭の収入・父親の学歴・母親の学歴などの要素が子供の学力に影響を与えます。
親の仕事が子供に影響を与えるかは、親の伝え方による部分が大きい
親の仕事内容によって、子供に直接影響を与えるということは少ないでしょう。
子供に仕事について考えさせる教育を親ができているかの方が、子供に与える影響が大きくなります。
できていないと感じる方は、子供との日常会話を気にかけてみてください。
特に以下のような家庭は、子供の仕事に対する見方がポジティブになりやすい傾向があります。
- 親が仕事に充実していると感じている
- 親が子供に仕事について話をしている
- 子供が親の働く姿を見たことがある
子供が仕事に興味を持つことで将来の夢が明確になったり、目標に向かって努力しやすくなります。
また、親の仕事の雇用形態によって、子供の学力に大きな悪影響を与えることもありません。
子供に対し、仕事は大変なだけのネガティブなものではなく、やりがいがありメリットのあるものであると伝えられるようにしましょう。