資産形成とは何か、どんなことから始めればいいか、初心者でもわかりやすく解説します。
「老後のために資産形成が大切」「早くから資産形成をすべき」とテレビやネットで耳にしても、具体的にどんなことをすればいいのかわからない人は多いでしょう。
また「お金は増やしたいけど、高いリスクは取りたくない」と思いますよね。
初心者もローリスクで取り組みやすい資産形成方法を紹介しているので、参考にしてください。
なぜ貯金しているだけでは資産形成が難しいのかについても、丁寧に説明していきます。
*2023年現在の情報になります。
※本ページにはPRが含まれます。
資産形成とは?
資産形成とは、イチから資産を築いて増やしていくことです。
似た言葉に「資産運用」があります。
資産運用とは「すでに持っている資産」を活用して、さらに増やすことを試みるという意味合いです。
たとえば投資信託や株に投資して、分配金や配当金を継続的に得る方法があります。
「資産運用」を通じて「資産形成」ができるので、資産運用は資産形成に含まれるといえますね。
貯金だけではダメ?
資産形成には次の2種類があります。
- 貯蓄
- 投資
ただ貯金しているだけで、大きく資産を増やすのは難しいです。
バブルの時代は定期預金だけで6~7%の金利がついたので、銀行に1,000万円預けておけば1年間で60~70万円も勝手に増えるという、夢のような状況でした。
しかし現在はかなり金利が高いネット銀行でも、金利は0.2%程度です。
メガバンクだと0.002%程度しか金利がつきません。
たとえば「三井住友銀行」「三菱UFJ銀行」「みずほ銀行」の定期預金の金利は、0.002%です。
効率よく資産形成をおこなうには、持っているお金をすべて普通預金で寝かせておくのではなく、すぐに使わないお金や余剰資金を資産運用することが重要になります。
「お金に働いてもらう」ということですね。
日本人は貯金好き?
日本人は資産運用に消極的で、貯金好きです。
次のデータを見てみると、日本人は海外と比較して、資産を投資性のある金融資産ではなく現金で保有している割合が高いとわかります。
現金・預金 | 金融資産総額 | |
日本 | 54.3%(約1,057兆円) | 1,946兆円 |
アメリカ | 13.3%(約1,603兆円) | 109.6兆ドル(12,056兆円) |
「周りもみんな貯金しかしていないから、資産運用をする必要はない」とお思いになるかもしれません。
しかし次の理由から、持っているお金の何割かは資産運用に回して、守りつつ増やすことを目指したほうがいいでしょう。
資産形成が必要な理由
計画的な資産形成が必要な理由は、おもに下記の通りです。
資産形成が必要な理由
- 年金と退職金だけでは老後資金が不足するため
- 子どもの進学費用を確保するため
- 給料だけに頼らず余裕をもって生活するため
年金と退職金だけでは老後資金が不足するため
テレビでもよく取り上げられているように、年金と退職金だけで安定した豊かな老後が過ごせる時代は、すでに終わったといわれています。
老後のために、現役時代から自分で資産形成をしておくことが大切です。
老後に必要な生活費
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)」によると、老後に必要な生活費は次の通りです。
- 独身…15万円
- 夫婦…26万円
定年まで働き続けた会社員の場合、年金受給額は月に約20万円程度です。
もらえる年金の額は、現役時代に稼いでいた給料に応じて変化します。
もともと年収が低かった人や、退職金制度がない職場に勤めている人ほど、老後資金を計画的に用意しておく必要があるでしょう。
途中で結婚・出産を機に仕事を辞めている人や、離婚で年金分割している人は、もらえる年金額が少ないので注意してください。
また自営業者やフリーランスが加入している「国民年金」は、サラリーマンが加入している「厚生年金」より、もらえる年金額が圧倒的に少ないです。
目安としては、月に5万円程度となります。
少しずつ貯金を取り崩すとしても、資産形成しておかなければ、月5万円の年金で老後を過ごすのは厳しいです。
総務省統計局
家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)
子どもの進学費用を確保するため
子どもを私立大学に通わせるなら、最低でも4年間で400万円の学費が必要です。
実際は下宿代・定期代・教科書代などもかかってくるので、400万円だけでは足りないでしょう。
子どもが小さいうちから資産形成をおこなわなければ、大学まで進学させるのは難しくなってしまいます。
奨学金や学生ローンを借りて後々返済するという方法もありますが、多くの場合は利子がつくので、貯蓄から支払うより損です。
できるだけ子どもに学費返済の負担をかけないためにも、親が計画的に資産形成しておくことは重要です。
給料だけに頼らず余裕をもって生活するため
昔は新卒入社した会社でずっと働き続け、年功序列で昇進・昇給していく…というライフプランを組むことができました。
しかし今は、ずっと同じ会社で働き続けても、昇進・昇給していくとは限らない時代です。
昔より給与水準も下がっています。
より高いお給料の会社に転職するとしても、今度は「新しい会社でうまくいくか」「求人通りの仕事が与えられるか」といった問題がつきまといます。
特に一般職の方は、働き続けても転職しても大きな昇給が見込めず、今後もずっと低いお給料で頑張らなくてはならない可能性が高いです。
しかし自分で資産運用をおこなえば、仕事を変えることなく、今よりもうるおいのある暮らしを目指せます。
資産形成を始めるタイミングは?
効率よく資産形成をするためには、お金に働いてもらうことが大切だと解説してきました。
では、いつから資産形成を始めればいいのでしょうか。
結論から言うと、「今すぐ、できるだけ早く」です。
資産形成をできるだけ早く始めるメリット
資産運用は取り組む期間を長く確保すればするほど有利になり、損をする確率が下がります。
長期で取り組んだほうが、投資するタイミング(時間)を分散でき、さらに「複利」の効果も高まるからです。
- 「複利」…運用益を再投資することで、どんどん利益が効率的に膨らんでいく。
- 「ドルコスト平均法」…値動きがある金融商品を、一定金額で定期的に買い付けることで、価格変動リスクを低減できる。価格が安いときはたくさん買い付けるが、高いときは少しの買い付けになるため。
投資で怖いのは元本割れのリスクですが、長期で取り組めばその可能性を下げられます。
今日が人生で一番若い日なので、思い立ったらすぐに準備を始めましょう。
「貯蓄」で資産形成する方法
では、資産形成の具体的な方法を見ていきましょう。
資産形成では「貯蓄」と「投資」のバランスが重要です。
持っているお金をすべて投資に回すのはリスクが高いですが、かといって貯蓄の割合が高すぎても、効率よく資産形成できません。
近いうちに使う予定があるお金や、もしもの場合に持っておきたいお金は、失うリスクがない「貯蓄」で確保しておきましょう。
銀行預金の種類
- 普通預金
- 定期預金
- 総合口座
- 当座預金
- 貯蓄預金
- 大口定期預金
- 積立定期預金
銀行預金の中でも一般的に広く知られているのは、「普通預金」や「定期預金」です。
普通預金や定期預金の金利は、銀行によって異なります。
効率的に資産形成するなら、当然ながら金利が高い銀行を選ぶべきです。
メガバンクは超低金利なので、金利が高いネット銀行で貯蓄するのがおすすめですよ。
「ネット銀行は破綻するのが怖い」とお思いになるかもしれませんが、銀行に預けているお金は、1,000万円までなら保証されます。
銀行の破綻リスクが怖いなら、1,000万円を超えるお金は別の銀行に預けるといいでしょう。
普通預金
好きなときに預けたり引き出したりできるのが、普通預金です。
単に「銀行の貯金」と言うときは、普通預金を指すのが一般的ですね。
近いうちに使う予定があるお金や、いざというときにすぐ使いたいお金は、普通預金で持っておくのがおすすめです。
定期預金
定期預金は「1年」「5年」「10年」などの満期まで、引き出すことができない貯金です。
預ける金額は最初に決めておき、まとめて預け入れをします。
基本的に途中解約はできません。
普通預金と違ってお金が拘束されてしまうのはデメリットですが、金利は普通預金より高く設定されていることが多いです。
なお金利を受け取るタイミングは、「複利」と「単利」の2通りがあります。
- 複利…満期時に一括で金利を受け取る。
- 単利…定期的に金利を受け取る。
「自由に引き出せるお金はすぐに使ってしまう」という人にもおすすめの預金方法です。
積立定期預金
積立定期預金とは、毎月決まった金額を口座にコツコツ預ける方法です。
預けたお金は、満期日にまとめて受け取ります。
定期預金と違って、途中解約が可能です。
積み立てる金額は途中で変更できるので、「余裕があるときは増額」「家計が厳しいときは減額」などの柔軟な対応ができます。
子どもの学費や住宅ローンの頭金など、何らかの目標に向かって着実に資産形成したい人におすすめです。
定期預金と積立定期預金の違い!どっちがおすすめ?
定期預金と積立定期預金はよく似ていますが、次のような違いがあります。
定期預金 | 積立定期預金 | |
期間 | 約6ヶ月~5年 | 約1ヶ月~10年 |
金利 | 固定or変動 | 固定 |
途中解約 | できる | できない |
どちらも銀行が破綻しない限り、元本割れのリスクはありません。
まだ資産が少なく、これから資産形成をしていきたい人には、積立定期預金がおすすめです。
すでに資産をある程度持っている人は、定期預金にまとめて預け入れをすると、普通預金や積立定期預金より利回りがよくなる場合があります。
ただ、超低金利の時代なので、定期預金しても年に0.2%程度しかお金を増やせません。
すぐ使う予定のないお金は、定期預金するより投資したほうが、効率的に資産形成できる可能性が高いです。
ただ投資ではほとんどの場合、元本割れのリスクがあるので、絶対に守りたいお金まで投資してしまうのは危険だと覚えておきましょう。
「投資」で資産形成する方法
投資にはさまざまな方法があります。
初心者が長期的に資産運用をおこなうなら、以下の手段がおすすめです。
資産形成が必要な理由
-
- つみたてNISA(投資信託・ETF)
- ロボアドバイザー
- iDeCo
- 株式投資
- 債券
長期投資より短期投資のほうが資金効率はいいのですが、リスクも高くなる傾向があり、中~上級者向けです。まずは下記の長期投資から取り組むことをおすすめします。
投資といえば株のイメージかもしれませんが、
つみたてNISA(投資信託・ETF)
つみたてNISAとはわかりやすく言うと、「投資信託」「ETF」という金融商品への投資で得た利益を、年間投資額120万円まで非課税にできる制度です。
投資で得た利益には通常、20.315%の税金がかかります。
全体の2割も税金として取られてしまうのは、かなり痛いですよね。
しかしつみたてNISAの口座から投資すれば、この税金が免除されます。
つみたてNISAは国の制度です。2024年から制度が改正され、より有利に資産形成できるようになりました。
ただしつみたてNISAで投資できるのは、「投資信託」と「ETF」のうち、国の厳しい基準をクリアした一部の銘柄だけです。
投資信託やETFとは、複数の投資家から集めた資金をもとに、プロが世界中の株や債券に分散投資してくれる金融商品。
つみたてNISAでは、最初に自分で設定した金額・タイミングで、投資信託やETFをコツコツ買い付けていきます。
1ヶ月に1回、100円程度から投資可能です。
損をしない保証はありませんが、利益になる可能性が低いような銘柄は、つみたてNISAの対象から除外されています。
ロボアドバイザー
投資信託やETFにはさまざまな銘柄があります。
「どの投資信託を買えばいいか分からない」「銘柄構成を定期的に見直すのが難しい」と感じた人は、ロボアドバイザーを利用してもいいでしょう。
投資信託やETFでは、プロが資産運用を代行してくれますが、ロボアドバイザーは銘柄選びからすべて丸ごとAIにおまかせできるサービスです。
簡単な質問に答えるだけで、あなたのリスク許容度に合ったポートフォリオを組んでくれます。
ただしすべて運用をおまかせできるタイプのロボアドバイザーは、利用料が必要です。
自分で投資信託やETFを買い付けた場合より、コストは高くなる可能性があります。
iDeCo
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことです。
わかりやすく言うと、自分で年金を上乗せして積み立てられる制度のこと。
積み立てた金額より、資産を増やせる可能性があるほか、運用益は全額非課税になります。
厚生年金や国民年金には誰もが加入していますが、これだけでは老後が心許ないという人におすすめです。
ただしiDeCoの運用益は、原則60歳まで引き出せません。
iDeCoにお金をつぎ込みすぎると、子どもの教育資金や住宅の購入資金が足りなくなったり、突然の病気に対応できなくなったりする可能性があります。
株式投資
企業に出資する投資方法です。
株式投資で利益を生む方法は、おもに3つあります。
- 株を持っているだけでもらえる「配当金」を受け取る。
- 株を持っているだけでもらえる「株主優待」を受け取る。
- 買ったときより高く売り、差額で利益を出す。
株価は日々変動しています。
配当金や株主優待を受け取っても、値下がりしたときに売ると、トータルで損をしてしまうことも。
また株は通常、100株単位での取引です。
たとえば株価1,000円の企業に投資するなら、10万円が必要となります。
しかし証券会社によっては、1株からの売買が可能です。
100株未満の保有だと、多くの場合株主優待はもらえません。
しかしひとつの企業にたくさんの資金をつぎ込むより、複数の企業に少しずつ投資したほうが、リスクはおさえられます。
初心者は売却益を狙うより、同じ銘柄をずっと保有して配当金や株主優待を受け取る投資方法のほうがおすすめだという意見が一般的です。
債券
債券投資は利回りが低いものの、リスクも低い投資方法です。
中には元本が保証されている債券もあります。
いわば「守り」の資産であり、リスクをおさえる目的でポートフォリオに組み込まれることが多いです。
しかし保有資産のうち、債券の割合が高すぎると、効率的に資産形成できないという問題があります。
債券のおすすめ度は投資家の年齢による
債券を保有すべきかどうかは、投資家の性格や貯めたい目標額、年齢によります。
老後まで時間的余裕のある20代~40代は、債券より高い利回りが狙える株式や投資信託へ資金を割り振るのに適した時期です。
年齢が上がれば上がるほど、「攻め」より「守り」の投資が重要になります。
慎重な資産運用がおすすめな50代・60代は、リスクが低い債券投資に向いている年代です。
「保険」で資産形成はできる?
保険の目的は、将来起こりうるリスクの軽減です。
中には利益になる可能性を秘めた保険商品もあるので、「保険ならもしもの場合の備えと資産形成が同時にできて、良いのでは」と考えている方もいるでしょう。
確かに貯蓄性の高い保険商品もありますが、保険だけで資産形成をするのは現実的ではありません。
投資と比べて資産を大きく増やすのは難しく、保険料が家計を圧迫する可能性もあります。
保険のメリット
保険には次のようなメリットがあります。
- 貯蓄性の高い保険がある
- もしもの場合の保障を受けられる
- 節税効果がある
ただ保険を中途解約すると、今まで支払った保険金は一部しか戻ってこない場合も。
元本割れのリスクも考慮して、あくまで「保険」として加入しましょう。
貯蓄型保険の種類
資産形成を意識して保険に加入するなら、貯蓄型保険がおすすめです。
貯蓄型保険には以下の種類があります。
- 個人年金保険
- 円建て終身保険
- 外貨建て終身保険
- 学資保険
- 変額保険
子どもと資産形成について学べる「キッズ・マネー・ステーション」の講座もおすすめ
キッズ・マネー・ステーションのおすすめポイント
- 金融教育18年の実績・信頼
- 親子で年齢に応じた講座に参加できる
- 資産形成について学べる
- オンラインで参加できる
資産形成について子どもと一緒に学びたい人は、「キッズ・マネー・ステーション」の講座に参加してみましょう。
キッズ・マネー・ステーションは、金融教育業界で18年の歴史を持つ老舗です。
資産形成は若いうちに始めたほうが断然有利で、最近は学校でも金融教育がスタートしたほどです。
しかし、家庭でお金の教育をするのは難しいですよね。
キッズ・マネー・ステーションなら、子どもの年齢に合った金融教育の講座を、親子で受講できます。
オンラインでも参加可能です。
子どもと自分の将来に備えて、ぜひ今から資産形成の勉強を始めましょう!
資産形成は「貯蓄」と「投資」の併用がおすすめ
効率的に資産形成をするには、「貯蓄」と「投資」の併用がおすすめです。
貯蓄では、金利が高いネット銀行を利用するといいでしょう。
投資にはさまざまな方法がありますが、まずは国の制度であり初心者も取り組みやすい、「つみたてNISA」から始めるのがおすすめです。
資金は多ければ多いほど効率よく資産形成できますが、いざというときのために必要なお金・使う予定があるお金は、貯蓄しておきましょう。
40代や50代からでも遅すぎるということはないので、ぜひ今日から取り組んでみてください。